CLINICAL EVALUATION REPORT

日本向け臨床評価報告書(CER)作成ガイド

臨床評価報告書(CER)は、既存の文献や臨床データを収集・評価し、日本で予定する使用目的に対する医療機器の安全性と有効性を説明する資料です。

作成は、評価範囲の設定、文献検索、データ評価、総合分析、結論の順に進めます。CERを作成すれば治験が不要になるわけではなく、既存資料で説明できる範囲と追加データの必要性を個別に判断します。

臨床評価の目的と範囲

CERの作成を始める前に、日本で申請する使用目的、対象患者、製品特性、既承認品との差分を確認します。

製品によっては、非臨床試験や既存資料だけでは臨床的な安全性・有効性を十分に説明できない場合があります。

一方、既存の文献、海外臨床データ、臨床使用実績などを利用して評価できる場合もあります。

受け入れ可否の考え方は、PMDA掲載の日本医療機器産業連合会(JFMDA)手引きPart 2を参照します。法令や一律の治験免除基準ではなく、使用目的、既承認品との差分、根拠資料の質・充足性に応じて検討するための実務資料です。

既存の根拠で十分に説明できるか不確実性が残る場合は、利用可能なデータと未解決の論点を整理したうえで、PMDA相談の利用を検討します。すべての製品で相談が必須となるわけではありません。

報告書に残す内容

対象機器の情報

日本で予定する使用目的、対象患者、構造・原理、製品特性、開発経緯、臨床的位置づけ。

評価範囲

評価する安全性・有効性・性能の論点と、評価の対象範囲。

データの検索・収集

検索・収集の方法、実施記録、採用した資料と除外理由。

データの評価

各資料の質、対象機器への適用可能性、評価に用いる範囲と限界。

安全性・有効性の分析

安全性・有効性の論点ごとの分析結果と、その根拠。

結論

臨床的根拠が支持する結論、リスクとベネフィット、残る不確実性。

評価範囲の設定から結論まで

作成手順の参考:PMDA掲載のJFMDA手引きPart 1の第2章「臨床評価報告書の構成」と第3章「臨床評価報告書の作成手順」。以下は作業を具体化した手順例で、特定の受託事例ではありません。

  1. 01

    評価範囲を決める

    日本で申請する使用目的、対象患者、使用方法から、評価で答える問いを定めます。各問いに対して、どの資料で説明するかを対応づけます。

  2. 02

    比較対象を検討する

    類似機器や前モデルのデータを使う場合は、下記の比較項目を対比表にし、相違点ごとに安全性・有効性への影響と判断根拠を記載します。

  3. 03

    文献検索計画を作成する

    検索・選択方法を検索前に定めます。実施時には検索結果と採用・除外の理由を記録し、計画に沿って選択したことを後からたどれるようにします。

  4. 04

    文献・臨床データを評価する

    例えば、文献の対象患者や使用方法が日本の申請範囲と異なる場合、その結果をどこまで適用できるかを記載します。関連する文献であることと、結論を支える資料として十分であることを分けて判断します。

  5. 05

    安全性・有効性を総合評価する

    評価の問いごとに複数の資料を照合し、一致する結果だけでなく食い違いと限界も示します。都合のよい一報だけで結論づけず、根拠全体から安全性・有効性を論じます。

  6. 06

    結論と残る不確実性を整理する

    既存の根拠で説明できる事項と、追加資料や当局相談が必要な事項を分けます。結論が申請書・STEDの使用目的や非臨床評価と矛盾していないかも照合します。

文献検索の再現性

文献検索では、後から同じ方法を確認できるよう、

  • 使用したデータベース
  • 検索日
  • 検索語
  • 検索式
  • 検索期間
  • 選択基準
  • 除外基準
  • 重複文献の処理
  • 採用・除外理由

を記録します。

都合のよい文献だけを選ぶのではなく、あらかじめ決めた方法で一貫して評価することが重要です。

類似機器・既承認品のデータを利用する場合

他の製品のデータを利用する場合には、単に形状や用途が似ているだけではなく、

  • 使用目的
  • 対象患者
  • 原材料
  • 構造
  • 性能
  • 使用方法
  • 接触部位・接触期間
  • 臨床的位置づけ

などの共通点と相違点を整理します。

対比表では、申請予定品と文献中の機器を並べ、項目ごとに共通点・相違点を記載します。例えば使用方法が異なるなら、その差が臨床結果の解釈に与える影響と、判断に用いた資料を示します。単に「類似している」と記載して比較を終えないことが大切です。

CER作成で見落としやすい点

  • 評価範囲を決める前に文献検索を始める
  • 検索方法が再現できない
  • 文献の採用・除外理由が不明確
  • 類似機器との差分評価が不足している
  • 海外CERを日本向けに確認せず転用する
  • 非臨床試験と臨床評価の結論が一致していない
  • 申請書やSTEDと使用目的の記載が異なる

よくある質問

EU MDR向けのCERを日本でも利用できますか?+

利用できる資料はありますが、日本の申請内容と評価範囲に合わせた確認が必要です。

文献だけで臨床評価できますか?+

製品特性や申請内容によって異なります。文献で説明できる範囲と、追加の臨床データが必要となる範囲を個別に確認します。

文献検索から依頼できますか?+

はい。評価範囲と検索計画の整理から、文献検索、評価、CER作成まで支援できます。

CER作成支援

臨床評価の要否、利用可能なデータ、文献検索、CER作成についてご相談いただけます。

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