ホーム薬事解説世界の医療機器ニュース:Roche新NGS、Edwards左心耳クリップ、甲状腺RFA、内視鏡縫合デバイスの進展

世界の医療機器ニュース:Roche新NGS、Edwards左心耳クリップ、甲状腺RFA、内視鏡縫合デバイスの進展

2026年6月29日〜7月5日の医療機器ニュースでは、Rocheの次世代シーケンサー、Edwardsの左心耳閉鎖クリップ、StarMedの甲状腺RFA、Terumoの冠動脈内イメージング、EndoZip内視鏡縫合デバイスなどの新製品動向に加え、テルモの胸部ステントグラフトのClass Iリコールなど、安全性に関する重要ニュースがありました。

対象期間:2026年6月29日〜7月5日

2026年6月最終週から7月第1週にかけての世界の医療機器・MedTech関連ニュースでは、新製品の上市、FDA 510(k)クリアランス、CEマーク取得後の商業導入、初回ヒト使用、初回臨床症例に関する動きが多く確認されました。

特に、Rocheの次世代シーケンシングプラットフォーム、Edwards Lifesciencesの左心耳閉鎖クリップ、StarMedの甲状腺結節向けラジオ波焼灼システム、Terumoの冠動脈内イメージングシステム、Nitinotesの内視鏡的スリーブ胃形成術向け縫合システム、OrthAlignのASC向け関節置換ナビゲーション、Peytantの気管・気管支カバードステントなどが注目されます。

一方で、テルモの胸部ステントグラフトのClass Iリコール(複数の患者死亡が報告された事例を含む)、BMC MedicalへのFDA警告書、Zimmer Biometによる非オピオイド疼痛管理デバイス取得など、安全性・規制・M&Aに関する重要なニュースもありました。

1. Roche、次世代シーケンシングプラットフォーム「AXELIOS 1」をローンチ

Rocheは、次世代シーケンシングプラットフォーム「AXELIOS 1」をローンチしました。AXELIOS 1は、同社独自のsequencing by expansion、SBX技術を用いる次世代シーケンサーとして紹介されています。当初は研究用途(Research Use Only)向けとして提供され、診断用途には位置づけられていません。報道では、米国での本体価格は約75万ドルで、Illumina社のNovaSeq X(約98.5万〜125万ドル)より低価格に設定されているとされ、初年度に約100台の販売を見込むと伝えられています。

シーケンシング市場ではIlluminaが強い存在感を持っていますが、Rocheの新プラットフォーム投入により、研究用途から将来的な臨床応用までを見据えた競争がさらに進む可能性があります。ゲノム解析、がん遺伝子検査、希少疾患診断、感染症解析など、診断・検査機器領域におけるシーケンサーの重要性は高まっています。

医療機器・体外診断用医薬品の観点では、装置性能だけでなく、検体前処理、解析ソフトウェア、データ管理、臨床的妥当性、保険償還までを含めたエコシステム構築が重要になります。研究用として上市された装置が将来的に臨床応用へ展開する場合には、別途の規制対応が論点になり得ます。

出典: Roche - AXELIOS 1 launch

2. Edwards Lifesciences、左心耳閉鎖クリップ「Ecliptis」でFDA 510(k)クリアランスを取得

Edwards Lifesciencesは、左心耳閉鎖デバイス「Ecliptis Left Atrial Appendage Exclusion System」について、FDA 510(k)クリアランスを取得しました。FDAのデータベースへの掲載は6月26日付とされ、Edwardsは2025年12月の投資家向けイベントで本デバイスに言及した後、同年12月29日に申請していたと報じられています。

Ecliptisは、関連する心臓外科手術中に左心耳を閉鎖するためのインプラント型クリップです。左心耳閉鎖は、心房細動患者における血栓形成や脳卒中リスク低減と関係する領域であり、外科的クリップとしてはAtriCureのAtriClip、MedtronicのPenditureが直接の競合と位置づけられます。加えて、Boston ScientificやAbbottは低侵襲(経皮的)な左心耳閉鎖デバイスを展開しており、隣接領域を含めると競争は激しい市場です。承認報道を受けてAtriCureの株価は約7%下落したと伝えられています。

EdwardsはTAVRを中心に構造的心疾患領域で強い基盤を持っています。今回のEcliptisは、同社が外科的心臓弁手術や構造的心疾患関連の顧客基盤を活用しながら、左心耳閉鎖という隣接領域へ展開する動きといえます。Edwardsは2026年に測定的・限定的な市場導入を進める方針を示しています。

出典: MedTech Dive - Edwards wins FDA clearance for LAA clip FDA 510(k) database

3. StarMed、甲状腺結節向けラジオ波焼灼システムでFDA 510(k)クリアランス

StarMed Americaは、甲状腺結節のラジオ波焼灼、RFAに用いるデバイスについて、FDA 510(k)クリアランス(510(k)番号:K252833、発効2026年5月26日、発表6月30日)を取得しました。同社は、米国で甲状腺結節のRFAを適応としてFDAクリアランスを取得した初の企業としています。対象デバイスはVIVA combo RFジェネレーター、STAR RF電極、VIVA RF電極で、成人の細胞診で確認された良性甲状腺結節に対する超音波ガイド下経皮的焼灼に適応されます。

甲状腺結節に対するRFAは、症状や美容上の問題を引き起こす良性結節に対して、外科手術より低侵襲な選択肢となる可能性があります。外科切除と比較して、外来治療、瘢痕低減、甲状腺機能温存などの点で患者価値が期待されます。

米国では2025年1月1日付でCMS(メディケア・メディケイドサービスセンター)が甲状腺RFA向けのCPTコード60660・60661を設定しており、償還の枠組みが先行して整備されている点も、普及の後押しとなり得ます。日本導入を考える場合は、適応、使用医師、施設要件、既存治療との位置づけ、保険償還が論点になります。

出典: MassDevice - StarMed wins FDA clearance for RF ablation platform for thyroid nodules Endovascular Today - StarMed America Receives FDA Clearance

4. Terumo、OPUSWAVE冠動脈内イメージングシステムの米国初回症例を実施

Terumo Interventional Systemsは、OPUSWAVE Dual Sensor Imaging Systemを用いた米国初回症例を実施したと発表しました。この症例は6月15日に、ニューヨークのMount Sinai Fuster Heart HospitalでAnnapoorna S. Kini医師により実施されました。OPUSWAVEは、IVUSの深部血管観察とOFDIの高解像度表面観察を1本のDualViewカテーテルで組み合わせることを狙った冠動脈内イメージングシステムで、FDA 510(k)クリアランスは2025年10月に取得済みです。なお、Terumoは日本のテルモ株式会社(TSE:4543)の一部門です。

冠動脈インターベンションでは、病変評価、ステント径・長さの決定、ステント拡張確認、合併症確認などに血管内イメージングが重要です。IVUSとOFDI/OCTはそれぞれ強みが異なるため、デュアルセンサー型のシステムは、PCIの意思決定を支援する新しいアプローチとして注目されます。

新製品導入の観点では、単に画像が見えるだけでなく、既存カテーテル室ワークフローへの統合、画像解釈の教育、手技時間への影響、償還上の扱いが普及の鍵になります。

出典: Terumo - OPUSWAVE first procedure in the United States MassDevice - Terumo reports first procedure using dual-sensor imaging system in US

5. Nitinotes、EndoZipのフランス初商業症例を実施

Nitinotesは、EndoZip Automated Suturing Systemについて、フランスで初の商業症例を実施したと発表しました。症例はストラスブールのIHU Strasbourg(画像誘導手術研究所)でSilvana Perretta教授のもとで実施されました。EndoZipは、内視鏡的スリーブ胃形成術、ESGに用いる自動縫合システムです。

肥満治療領域では、外科手術、内視鏡治療、薬物療法がそれぞれ進展しています。EndoZipのような内視鏡的デバイスは、外科手術より低侵襲な選択肢として、患者負担の軽減や回復期間短縮が期待されます。

同製品は欧州でCEマークを取得しており(2025年11月)、今回のフランスでの商業症例は、イタリアやスペインでの使用に続く欧州展開の一部とされています。米国ではEndoZipは依然として治験段階で、多施設ランダム化比較試験(EASE試験、IDE)が進行中です。世界で商業展開されている内視鏡的胃リモデリング(EGR)プラットフォームとしては、OverStitch(Boston Scientific)、IOP(USGI Medical)、Endomina(Endo Tools Therapeutics)、そして最新のEndoZip(Nitinotes)が挙げられ、消化器内視鏡領域では、治療デバイスと手技トレーニング、施設導入体制、長期アウトカムの提示が普及に重要です。

出典: Nitinotes - First commercial EndoZip cases in France Bariatric News - First commercial EndoZip ESG cases performed in France

6. OrthAlign、ASC向け関節置換ナビゲーション「Lantern ASC」の初回症例を実施

OrthAlignは、外来手術センター、ASC向けの関節置換手術支援システム「Lantern ASC」について、初回臨床症例を完了したと発表しました。

Lantern ASCは、再利用可能なナビゲーションユニットと手技ごとのSmart Pack Kitで構成され、人工膝関節全置換、部分置換、靱帯バランシングなどにリアルタイムナビゲーションを提供するシステムです。大型ロボットシステムのような高額設備投資や専用スペースを必要としにくく、外来手術センターでの導入を意識した設計とされています。

米国では人工関節手術のASC移行が進んでおり、手術支援技術にも、精度だけでなく、設置性、コスト、手術回転率、既存ワークフローとの親和性が求められます。

出典: MassDevice - OrthAlign announces first cases with joint replacement tech for ASCs Orthoworld - OrthAlign Announces First Cases with Lantern ASC System

7. Peytant Solutions、AMStent気管・気管支カバードステントの初回ヒト使用を実施

Peytant Solutionsは、AMStent Tracheobronchial Covered Stent Systemの初回ヒト使用を発表しました。AMStentは、気管・気管支狭窄に対するカバードステントで、ヒト由来羊膜でカバーされたステントとして紹介されています。

気管・気管支ステントは、悪性腫瘍や狭窄による気道閉塞の緩和に用いられることがあります。カバードステントでは、被覆材料、組織反応、移動リスク、肉芽形成、抜去性、長期安全性が重要な評価項目です。

初回ヒト使用の段階では、上市済み製品とは異なり、臨床使用経験は限定的です。今後は、安全性、手技成功率、症状改善、ステント開存、合併症のデータ蓄積が重要になります。

出典: MassDevice - Peytant announces first human use of tracheobronchial covered stent system

8. Alafair Biosciences、VersaCoat Flowable Hydrogelを上市

Alafair Biosciencesは、整形外科手術における軟部組織保護を目的としたVersaCoat Flowable Hydrogelを上市しました。同製品は、腱、靱帯、骨格筋、末梢神経、神経周囲環境などにおける術後の軟部組織癒着や牽引を抑えることを目的とした、シリンジ投与型の生体吸収性ハイドロゲルです。

同社は、ヒアルロン酸とアルギン酸をベースとするVersaCore Hydrogel Technologyを用い、従来のシート型製品よりも届きにくい解剖学的部位に適用しやすい形態として展開しています。

整形外科、手外科、足足関節、末梢神経手術では、術後癒着や組織滑走性の低下が機能回復に影響することがあります。手術補助材料では、使いやすさ、適用部位、吸収性、安全性、再手術時の影響が重要な評価ポイントになります。

出典: Alafair Biosciences - Launch of VersaCoat Flowable Hydrogel

9. Penumbra、Red 72 Silver Label再灌流カテーテルでCEマークを取得

Penumbraは、急性虚血性脳卒中向けのRed 72 Silver LabelおよびRed 72 Silver Label with SendIt technologyについて、CEマークを取得したと発表しました。

神経血管領域では、血栓回収デバイスの進化が続いています。吸引カテーテル、ステントリトリーバー、アクセスデバイス、送達性、血栓捕捉性、手技時間短縮が競争軸です。今回のCEマーク取得は、欧州市場における脳卒中治療デバイスの選択肢拡大につながる可能性があります。

出典: Endovascular Today - Penumbra's Red 72 Silver Label Reperfusion Catheters Receive CE Mark Approval

10. Reflow Medical、Spur Peripheral Retrievable Scaffold Systemの新試験で初例登録

Reflow Medicalは、Spur Peripheral Retrievable Scaffold Systemを評価するDEEPER CHALLENGE試験で、初例登録を発表しました。同試験は、重症下肢虚血、CLTIのうち、膝下病変に対する治療後の早期血管リコイルを評価するものです。

Spurは、一時的に血管内で足場を形成し、薬剤コーティングバルーンとの併用で治療効果を高めることを狙うコンセプトです。恒久留置型ステントとは異なり、retrievable、つまり回収可能なスキャフォールドである点が特徴です。

末梢血管領域では、石灰化、再狭窄、血管解離、長期開存性、下肢温存が重要課題です。新しいデバイスコンセプトでは、臨床試験を通じて、既存治療と比較した明確なベネフィットを示す必要があります。

出典: Reflow Medical - DEEPER CHALLENGE trial first patient enrollment

11. Zimmer Biomet、Paciraのiovera疼痛管理デバイスを最大1.4億ドルで取得へ

Zimmer Biometは、Pacira BioSciencesから非オピオイド疼痛管理デバイス「iovera」を最大1.4億ドルで取得する契約を発表しました(6月30日)。契約は、7,000万ドルの前払いと、2031年12月31日までの売上連動マイルストーン最大7,000万ドルで構成されています。マイルストーンは、ioveraの年間純売上が5,000万/6,000万/7,000万ドルに達した場合に、それぞれ1,850万/2,350万/2,800万ドルが支払われる段階構造とされ、Paciraの従業員約66名(同社人員の約8%)がZimmer Biometへ移籍する見込みです。取引は2026年第3四半期のクロージングが見込まれています。

ioveraは、冷却によって末梢神経の疼痛信号を一時的に遮断するcryoneurolysisデバイスです。整形外科手術、人工関節、変形性膝関節症などの疼痛管理に関連する技術として位置づけられます。

この買収は、整形外科領域でインプラント単体から周術期管理、疼痛管理、患者アウトカム改善へ事業範囲を広げる動きといえます。非オピオイド疼痛管理は、米国ではNOPAIN Act(2025年施行の非オピオイド疼痛治療に対する償還インセンティブ)など、医療政策や償還面でも注目されやすい領域です。

出典: MedTech Dive - Zimmer to buy Pacira pain relief device for up to $140M MassDevice - Zimmer Biomet to pay up to $140M for Iovera nerve therapy tech

12. Aurenar、「V-Link」がFDAのブレークスルーデバイス指定を取得

Aurenarは、くも膜下出血後の脳血管攣縮を低減することを目的とした非侵襲ニューロモジュレーションシステム「V-Link」について、FDA Breakthrough Device指定を受けました。

V-Linkは、耳介周辺を通じて迷走神経の分枝に低エネルギー電気刺激を与えるデバイスとして紹介されています。脳動脈瘤破裂後のくも膜下出血では、二次的な脳血管攣縮が重大な合併症になり得ます。

Breakthrough Device指定は承認ではありませんが、重篤疾患に対する有望な技術について、FDAとの相互作用を通じた開発加速が期待される制度です。神経テック領域では、侵襲性を抑えた神経刺激デバイスの開発が進んでいます。

出典: MassDevice - Aurenar gets FDA breakthrough nod for noninvasive neuromod tech NeuroNews International - Aurenar gains FDA breakthrough designation

13. テルモ、Relay Pro胸部ステントグラフトの自主回収を実施(Class Iリコール)

新製品関連のニュースが多い一方で、安全性・リコール関連では、テルモによるRelay Pro胸部ステントグラフトシステムの自主回収が重要です。テルモは7月1日、グローバル市場での自主回収を発表しました。

対象はRelay Pro NBS(非ベアステント)の一部モデル(径32mm〜46mm)で、ステントグラフト展開後にデリバリーシステムを適切に分離できない可能性があるとされています。海外の医療機関から報告された4例において、展開後にデリバリーシステムを患者体内から抜去できない事象が生じ、うち3例が手技中または手技後に患者死亡に至ったと報告されています。テルモは、現時点でデバイスとこれらの事象との直接的な因果関係は確立されていないとしています。

対象は2024年5月〜2026年3月に販売された約7,000ユニットで、北米・中南米・欧州・中東・アジアの計43カ国に流通していました。米国ではBolton Medical(テルモが2017年に約1.74億ドルで買収、現Terumo Aortic)が販売しており、FDAは4月に早期警告を発出、5月に最も重大な区分であるClass Iリコールに分類しました。これに先立ち、日本国内では6月1日に同一モデルの自主回収が開始されており、その範囲・内容に変更はないとされています。

高リスクの心血管インプラントでは、デバイス本体だけでなく、デリバリーシステム、分離機構、術中操作性が重大な安全性論点になります。市販後監視、苦情情報の解析、フィールドアクション、医療機関への情報提供体制が重要です。

出典: Terumo - Voluntary recall of Relay Pro Thoracic Stent-Graft System MedTech Dive - Terumo recalls stent-graft system linked to three deaths FDA - Thoracic Stent Graft Recall: Bolton Medical Removes Relay Pro System

14. FDA、BMC MedicalのCPAP/APAP機器に警告書

FDAは、中国のBMC Medicalに対し、CPAP/APAP機器に関する警告書を発出しました。報道によると、FDAは同社の一部機器について、既存の510(k)クリアランスからの変更が安全性・有効性に影響し得るにもかかわらず、適切な市販前手続きが行われていなかった可能性を指摘しています。

呼吸管理機器や在宅医療機器では、ソフトウェア、ファームウェア、アルゴリズム、騒音低減機構、構成部品の変更が薬事上の重要変更に該当する場合があります。承認・認証取得後の変更管理は、グローバル展開する医療機器企業にとって中核的な品質・薬事業務です。

出典: MassDevice - FDA warning letter says BMC Medical brought unapproved CPAPs to US MD+DI - FDA warning over unapproved CPAP changes

実務上の示唆

1. 新製品の導入では「初回使用」から「商業展開」までの段階管理が重要

今週は、上市、FDAクリアランス、CEマーク後の商業症例、初回ヒト使用、初例登録など、製品ライフサイクルの異なる段階にあるニュースが多く見られました。

AXELIOS 1のようなプラットフォーム型製品、Ecliptisのような新規インプラント、OPUSWAVEのような院内システム、EndoZipやLantern ASCのような手技依存型デバイスでは、承認やクリアランスの取得は出発点にすぎません。臨床導入、医師教育、症例蓄積、施設ワークフローへの統合、保険償還、販売体制までを段階的に設計することが求められます。また、AXELIOS 1のように研究用として上市された製品が将来的に臨床応用を目指す場合には、追加の規制対応が必要になり得ます。

2. 低侵襲・非侵襲技術の対象疾患が広がっている

StarMedの甲状腺RFA、Aurenarの非侵襲ニューロモジュレーション、Nitinotesの内視鏡的肥満治療、Reflowの回収可能スキャフォールドなど、患者負担を抑えた治療技術の対象疾患が広がっています。

低侵襲・非侵襲であることは大きな利点ですが、医療機器としては、既存治療と比較した有効性、安全性、手技時間、再治療率、医療経済性を示すことが重要です。米国では甲状腺RFAのCPTコード設定のように償還の枠組みが先行整備される例もあり、日本市場では、使用目的、対象患者、既存治療との位置づけ、保険償還上の評価が論点になります。

3. 手技支援デバイスは、精度だけでなく導入しやすさが競争軸になる

OrthAlignのLantern ASCやTerumoのOPUSWAVEは、医師の判断や手技を支援するデバイスです。こうした製品では、精度や画像品質に加えて、施設導入のしやすさ、操作性、トレーニング負荷、手技時間、既存機器との互換性が普及を左右します。

特に米国のASC向け製品では、大型設備投資を前提としないポータブル性やコスト構造が重要です。日本市場でも、病院規模や診療報酬体系に合わせた導入戦略が必要になります。

4. 変更管理と市販後安全性は、製品価値を守るための重要機能

テルモのステントグラフトのClass IリコールやBMC MedicalへのFDA警告書は、承認後・上市後の管理が製品価値に直結することを示しています。特にテルモの事例では、デリバリーシステムの分離機構という手技の最終工程に関わる不具合が、複数の患者死亡が報告される重大事象につながり得ることが示されました。

ソフトウェア、ファームウェア、アルゴリズム、材料、デリバリーシステム、付属品の変更は、安全性・有効性への影響評価が必要です。グローバル展開する企業は、各国規制に基づく変更管理、当局報告、リコール判断、医療機関への通知体制を整備しておくことが求められます。日本を含む複数国にまたがる回収では、各国当局への報告と回収範囲の整合も論点になります。

5. M&Aは「製品単体」から「周術期・治療エコシステム」へ広がっている

Zimmer Biometによるiovera取得は、整形外科企業がインプラントだけでなく、疼痛管理や周術期アウトカムまで事業範囲を広げる動きといえます。米国のNOPAIN Actのように、非オピオイド疼痛管理を後押しする償還政策も、この領域への関心を高める背景となっています。

医療機器企業の競争は、製品単体の性能だけでなく、治療前後の管理、合併症低減、患者満足度、医療経済性まで含めた価値提供へ移行しています。

まとめ

2026年6月29日〜7月5日の医療機器・MedTechニュースでは、新製品・上市・初回使用に関する動きが多く確認されました。

RocheのAXELIOS 1、Edwards LifesciencesのEcliptis、StarMedの甲状腺RFA、TerumoのOPUSWAVE、NitinotesのEndoZip、OrthAlignのLantern ASC、PeytantのAMStent、AlafairのVersaCoatは、それぞれ診断、心血管、低侵襲治療、冠動脈イメージング、消化器内視鏡、整形外科、呼吸器ステント、手術補助材料という異なる領域で、新しい臨床価値を狙う製品です。

一方で、テルモのステントグラフトのClass IリコールやBMC MedicalへのFDA警告書は、承認後の変更管理、市販後安全性、品質システムの重要性を改めて示しています。

医療機器企業にとっては、新製品開発だけでなく、薬事承認、臨床エビデンス、医師教育、保険償還、上市後の安全管理までを一体で設計することが、グローバル市場での競争力につながります。

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