ホーム薬事解説世界の医療機器ニュース|FDA申請費用改定・完全埋込型人工内耳・テルモ買収(2026年9月28日〜10月4日)

世界の医療機器ニュース|FDA申請費用改定・完全埋込型人工内耳・テルモ買収(2026年9月28日〜10月4日)

FDAの2027年度申請費用、完全埋込型人工内耳、心臓アブレーションソフト、テルモの買収、医療機器保険適用訂正など9月28日〜10月4日の主要MedTechニュース。

2026年9月28日〜10月4日の医療機器・MedTech業界では、米FDAの2027年度申請費用、日本企業による海外MedTech買収、完全埋込型人工内耳などの新技術が注目されました。

FDAでは2027会計年度の医療機器ユーザーフィーが10月1日から適用され、Home as a Health Care Hub構想の一環でREADI-Home Innovation Challengeも進展しました。製品面ではMED-ELの完全埋込型人工内耳、Medtronicの心臓アブレーションソフト、Siemens HealthineersのD-dimer検査などが発表され、日本ではテルモによる米国Arsenal Medical買収と厚生労働省の医療機器保険適用通知の訂正がありました。


1. FDA、2027年度の医療機器ユーザーフィーを適用開始―510(k)は28,653ドル

適用開始日:2026年10月1日

FDAの2027会計年度(2026年10月1日〜2027年9月30日)のMedical Device User Fee Amendments(MDUFA)料金が適用開始となりました。標準の510(k)申請料は前年度の26,067ドルから28,653ドル、De Novoは173,782ドルから191,020ドル、PMA等は579,272ドルから636,732ドルへ引き上げられています。

年間のEstablishment Registration Feeも11,423ドルから13,785ドルに上昇しました。Small Business Determinationを取得した企業には減額料金があり、2027年度の510(k)小規模企業料金は7,163ドル、De Novoは47,755ドルです。

米国参入を計画する海外メーカーにとって、FDA費用は薬事予算に直接影響します。特に複数製品を510(k)で申請する企業や、米国施設登録が必要な企業では、2027年度の予算を旧年度料金のまま見積もらないよう注意が必要です。

公式情報

https://www.fda.gov/industry/fda-user-fee-programs/medical-device-user-fee-amendments-mdufa-fees


2. FDA「READI-Home Innovation Challenge」、在宅医療機器5製品を選定

更新日:2026年9月29日

FDAは、退院後の再入院を減らす医療機器を対象とするREADI-Home Innovation Challengeの参加企業を追加発表しました。これはCDRHの「Home as a Health Care Hub Initiative」の一環で、選定された製品にはFDAとの頻回な「sprint」形式の協議など、開発初期からの対話機会が提供されます。

今回公開されている対象には、Epitelの在宅用ワイヤレスEEG、Prapelaの乳児用振動マットレス、BDの在宅自己採血キット、Current HealthのCAR-T患者向けAI/MLリスク評価ソフト、Skribe Medicalの心機能推定ウェアラブルパッチが含まれます。FDAは最大9製品を選定する予定です。

重要なのは、Challengeへの選定はFDA承認・クリアランスを意味しない点です。一方、FDAが在宅使用、人間工学、患者・介護者による操作、遠隔モニタリングを今後の医療機器開発の重要領域として位置付けていることは明確です。

公式情報

https://www.fda.gov/medical-devices/home-health-care-hub/fda-readi-home-innovation-challenge-reducing-readmissions-through-device-innovation-home


3. MED-EL、外部プロセッサ不要の完全埋込型人工内耳「TICI UNICO」を欧州投入

公表日:2026年9月29日

オーストリアのMED-ELは、すべてのコンポーネントを皮下に埋め込むTICI UNICOを発表しました。同社によれば、マイク、信号処理、電源を含めて外部装置を必要としない、世界初の商用化された完全埋込型人工内耳です。CE Markを取得し、欧州各国で導入が始まっています。

従来の人工内耳では体外にサウンドプロセッサを装着しますが、TICI UNICOは植込み型マイクで皮膚を通して音を取り込みます。睡眠中、運動時、水中活動中も聴覚を維持でき、充電中も音を聞くことが可能とされています。1.5Tおよび3T MRIへの条件付き対応も示されています。

完全植込み型化は単なる小型化ではなく、医療機器のユーザビリティと患者の日常生活を大きく変える可能性があります。日本導入を考える場合には、国内承認の有無に加え、植込み手技、充電方式、長期電池性能、MRI条件、保険償還が重要な評価項目になります。

公式情報

https://www.medel.com/press-room/press-details/2026/09/29/medel-launches-tici-unico-the-worlds-first-and-only-totally-invisible-cochlear-implant


4. Medtronic、心臓アブレーション用Affera Prism-2をFDA・CEで展開

公表日:2026年9月30日

Medtronicは、心臓アブレーション手技に使用する最新のAffera Prism-2 Mapping SoftwareについてFDAクリアランスとCE Markを取得したと発表しました。また、PulseSelect PFA System用のProxBox Adapter with Proximity IndicatorについてもCE Markを取得しています。

Prism-2は心臓内の電気活動を3Dマップ化し、磁気およびインピーダンス情報を利用してカテーテル位置を表示します。Beat Matching、Pace Taggingなどの機能が追加され、X線透視を減らした、あるいは使用しないワークフローを支援します。ProxBoxはインピーダンスを利用し、PFAエネルギーを照射する前にカテーテルと組織の近接状態をリアルタイムでフィードバックします。

アブレーション領域では、カテーテル本体だけでなく、マッピング、ナビゲーション、エネルギー制御を含むソフトウェアエコシステムが製品競争力を左右する傾向が強まっています。

公式情報

https://news.medtronic.com/2026-09-30-Medtronic-announces-regulatory-milestones-for-newest-cardiac-mapping-and-ablation-software


5. Siemens Healthineers、次世代D-dimer検査「Innovance D-Dimer 2.0」を世界展開

公表日:2026年9月29日

Siemens Healthineersは、静脈血栓塞栓症(VTE)の評価に用いるInnovance D-Dimer 2.0 Assayのグローバル展開を発表しました。同製品はCE Markを取得し、米国でもFDA 510(k)クリアランスを取得済みです。

D-dimer検査は、深部静脈血栓症(DVT)や肺塞栓症(PE)が疑われる患者において、臨床的にVTEを除外するために広く使用されています。Siemensは次世代アッセイとして検査性能とワークフローの向上を図っています。

IVDでは装置の承認だけでなく、既存分析装置との互換性、測定時間、試薬供給、臨床検査室の運用コストが採用を左右します。成熟した検査領域でも、試薬更新による製品ライフサイクル管理が継続的な競争要因となっています。

公式情報

https://www.siemens-healthineers.com/press/releases/innovance-d-dimer-assay


6. Insera Therapeutics、周期的吸引を用いるCLEAR Aspiration SystemをFDA 510(k)クリアランス

公表日:2026年9月28日

Insera Therapeuticsは、末梢動静脈の血栓除去を目的とするCLEAR Aspiration SystemについてFDA 510(k)クリアランスを取得したと発表しました。システムはCLEAR Aspiration Pumpと、カテーテル、チューブ、キャニスターなどの単回使用品で構成されます。

特徴は、連続的に一定の陰圧をかける従来型吸引とは異なり、吸引圧を周期的に変化させるcyclical aspirationを採用していることです。対象は末梢動脈および静脈内の新鮮で柔らかい塞栓・血栓です。

血栓回収領域では、カテーテル径や到達性だけでなく、ポンプ制御や吸引アルゴリズムを含むシステム全体が差別化要素になっています。ハードウェアと使い捨て消耗品を組み合わせるビジネスモデルとしても注目されます。

一次情報

https://www.prnewswire.com/news-releases/insera-therapeutics-inc-receives-us-fda-510k-clearance-for-the-clear-aspiration-system-featuring-cyclical-aspiration-302891209.html


7. テルモ、米Arsenal Medicalを買収へ―慢性硬膜下血腫向け液体塞栓材を取得

公表日:2026年9月30日

テルモは、子会社Terumo Neuroを通じて米国のArsenal Medicalを買収することで合意したと発表しました。目的は、Arsenalが開発中の液体塞栓材NeoCastを取得し、脳血管治療ポートフォリオを拡充することです。

NeoCastは、慢性硬膜下血腫(cSDH)に対する中硬膜動脈塞栓術を想定した液体塞栓材で、末梢血管への到達性向上を目的とした流動特性を持つとされています。溶媒を必要としない設計も特徴です。初期臨床試験EMBO-02では実施可能性・安全性に関する主要評価項目を達成し、現在は外科治療併用下で評価するピボタル試験RADIANTが進行しています。

NeoCastは現時点でいずれの国・地域でも承認されていない開発品です。国内大手メーカーが未承認技術を持つ海外企業を買収し、臨床開発からグローバル薬事・販売まで自社ポートフォリオに取り込む事例としても興味深い動きです。

公式情報

https://www.terumo.co.jp/newsrelease/detail/20260930/11561


8. 厚労省、医療機器の保険適用通知を訂正―製品コード・販売名を修正

公表日:2026年9月30日

厚生労働省保険局医療課は、7月31日および8月31日に発出した「医療機器の保険適用について」の一部訂正を公表しました。今回の通知は新たな償還制度や材料価格の創設ではなく、既に公表された保険適用情報の記載訂正です。

訂正内容には、クックメディカルジャパンの「COOK Zenith大動脈解離用エンドバスキュラーシステム2」の一部製品コードの修正が含まれます。また、デンツプライシロナの「i900 オーラルスキャナ」について、製品名「i900 Mobile」が「i900 Mobility」へ訂正されています。

医療機器の保険適用実務では、承認番号や機能区分だけでなく、個々の製品コードまで正しくマスター登録されていることが重要です。保険適用通知が出た後も訂正通知を継続して確認する必要があることを示す事例です。

公式情報

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001754572.pdf


9. Sofinnova Partners、MedTech企業創出ファンドを8,200万ユーロでクローズ

公表日:2026年9月28日

欧州のライフサイエンス投資会社Sofinnova Partnersは、MedTech企業の創出に特化したSofinnova MD Start IVを8,200万ユーロで最終クローズしたと発表しました。募集額を上回る資金を集め、今後5年間で欧州・米国を中心に6〜8社の新しいMedTech企業を立ち上げる計画です。

MD Startは既存企業への単純な投資ではなく、臨床ニーズや技術シーズを基に会社そのものを作る「company creation」型のファンドです。前号ファンドMD Start IIIは6社へ投資し、それらの企業は追加で合計1.4億ユーロ超を調達しています。過去のポートフォリオにはLimFlow、preCARDIA、Moon Surgicalなどが含まれます。

MedTechでは薬事・臨床・製造に長期間の資金が必要なため、初期段階から経営チーム形成や薬事戦略まで関与する投資モデルが重要です。欧州で医療機器ベンチャーへの資金供給が継続していることを示すニュースです。

公式情報

https://sofinnovapartners.com/news/sofinnova-partners-closes-oversubscribed-82-million-sofinnova-md-start-iv-fund-to-create-the-next-generation-of-medtech-companies


まとめ

今週は、承認そのものだけでなく、開発初期のFDA相談、申請費用、償還情報、M&A、ベンチャー資金まで、医療機器の事業化を支える周辺環境が大きく動いた1週間でした。

FDAの2027年度ユーザーフィーは米国参入コストに直接影響し、READI-Home Challengeは在宅医療機器への規制当局の関心を示しています。一方、完全埋込型人工内耳や心臓アブレーションソフトなど、ハードウェアとソフトウェアを統合した新しい製品カテゴリーの進展も目立ちました。

日本ではテルモによる海外技術の取り込みと厚労省の保険適用情報訂正があり、海外技術の導入から国内市場アクセスまでを一体で考える重要性が改めて示されています。

医療機器の薬事対応についてご相談ください

医療機器全般の薬事対応を支援しています。特に消化器内視鏡・胆膵領域では、実務経験を生かし、申請方針の検討から資料作成まで対応します。

ご相談はこちら