体外診断用医薬品(IVD)の規制と申請

日本で体外診断用医薬品(IVD)を販売するには、製品の測定項目や使用目的を確認し、一般的名称、クラス分類、適用される基準を特定したうえで、製造販売届出、認証または承認のどの手続きに該当するかを整理する必要があります。

海外で販売されているIVDであっても、そのまま日本で販売できるわけではありません。性能評価、QMS、添付文書、日本国内の製造販売体制なども含め、日本の薬機法に基づく準備が必要です。

体外診断用医薬品(IVD)とは

体外診断用医薬品とは、疾病の診断に使用することを目的とする医薬品のうち、人または動物の身体に直接使用しないものです。

血液、血清、血漿、尿などの検体を用いて、特定の物質や項目を測定・検出する試薬やキットなどが該当します。

日本では、IVDは医療機器とは別に「体外診断用医薬品」として薬機法上の規制を受けます。一方で、製造管理・品質管理についてはQMS省令の対象となります。

IVDの一般的名称と分類コード

体外診断用医薬品では、測定項目や使用目的に応じて一般的名称が定められています。

一般的名称ごとに分類コードとクラス分類が設定されているため、まず申請予定品がどの一般的名称に該当するかを確認します。

製品名や測定原理だけではなく、

  • 何を測定・検出するのか
  • どの検体を使用するのか
  • どのような診断情報を提供するのか
  • その結果が診療上どのような判断に使用されるのか

を整理したうえで判断することが重要です。

一般的名称が既存の分類に存在しない場合には、承認審査と併せて新たな一般的名称を設定する場合があります。

IVDのクラス分類

体外診断用医薬品は、検査結果が患者の診断や治療判断に与えるリスクなどを踏まえ、クラスIからIIIに分類されます。

概ね、診断情報の誤りが患者に与える影響が大きいものほど高いクラスに分類されます。

ただし、クラス分類だけで製造販売届出・認証・承認の申請ルートが決まるわけではありません。

クラスIまたはIIであっても、該当する基準の有無と、その適用範囲に製品が入るかを確認する必要があります。

クラス主な手続き
クラスI

基準に適合する場合は製造販売届出

クラスII

認証基準に適合する場合は登録認証機関による認証

クラスIII

原則として製造販売承認

基準に適合しない品目

クラスI・IIでも承認申請となる場合あり

そのため、実際の申請ルートを判断するときは、

一般的名称 → クラス分類 → 適用基準 → 基準への適合性

の順で確認します。

製造販売届出・認証・承認の違い

製造販売届出

クラスIの体外診断用医薬品のうち、承認・認証を不要とする基準に適合する品目では、製造販売届出による市場導入が可能です。

届出品目であっても、一般的名称、使用目的、形状・構造・原理、反応系に関与する成分、品目仕様、使用方法などを適切に整理する必要があります。

製造販売認証

クラスIIのうち、認証基準が設定され、その適用範囲に該当する製品は、登録認証機関による製造販売認証の対象となります。

単に同じクラスIIであるという理由だけでは認証申請とは判断できません。測定項目、使用目的、性能などが認証基準の範囲内であることを確認します。

製造販売承認

クラスIII、新規測定項目、基準のない品目、または既存の承認・認証基準等に適合しない品目では、PMDAによる審査を伴う製造販売承認が必要となります。

承認申請では、品質、有効性および安全性について、科学的かつ信頼性のある資料によって説明する必要があります。

性能評価

体外診断用医薬品の審査では、単に試薬が測定できることだけでなく、その測定結果が意図した用途に対して適切な性能を有していることを示します。

製品によって必要な資料は異なりますが、承認申請では例えば次のような事項を整理します。

  • 測定範囲
  • 品目仕様
  • 安定性
  • 操作方法
  • 検体の種類と取扱い
  • 精度・正確性等の性能
  • 既存体外診断用医薬品との相関
  • リスクマネジメント
  • 製造方法
  • 臨床性能

必要な試験内容は、申請区分、測定項目、使用目的、既存品との差分によって変わります。

特に、新しい測定項目や新しい臨床的意義を持つ製品では、既存品との相関試験だけでは十分でない場合があるため、開発初期に必要な臨床性能資料を整理することが重要です。

2026年5月から承認申請資料の取扱いが改正されました

2026年3月31日、厚生労働省は体外診断用医薬品の製造販売承認申請に関する通知を改正しました。

この改正は2026年5月1日以降に行われる承認申請に適用されます。

改正後の通知では、承認申請の添付資料について、

  • 開発の経緯・海外での使用状況
  • 仕様
  • 安定性
  • 基本要件基準への適合
  • 性能
  • リスクマネジメント
  • 製造方法
  • 臨床性能試験またはこれに代替する資料

などの資料体系が示されています。

これから日本でIVDの承認申請を行う場合は、過去の申請資料構成だけを参考にせず、最新の通知に基づいて必要資料を確認する必要があります。

QMS対応

体外診断用医薬品はQMS省令の対象です。

QMSでは、製品の製造管理・品質管理について、手順や体制が整備されているだけでなく、実際に運用され、その記録が確認できることが求められます。

承認・認証の申請では、製造販売業者や製造所、製品群などを確認し、必要に応じてQMS適合性調査を進めます。海外製造所が調査対象となる場合もあります。

海外メーカーの場合は、日本での申請を開始する前に、既存のISO 13485等の品質システムと日本のQMS要求事項との差分を確認しておくと、申請とQMS対応を並行して進めやすくなります。

法定表示・添付文書

日本で体外診断用医薬品を販売する際には、承認・認証・届出内容と整合した表示や添付文書を準備します。

体外診断用医薬品の添付文書には、一般的名称、販売名、承認・認証番号または届出番号、使用目的、測定原理、操作上の注意、性能、使用上または取扱い上の注意など、製品を適切に使用するための情報を記載します。

海外のIFUをそのまま翻訳するのではなく、日本の申請内容と整合させることが重要です。

海外メーカーが日本市場へ参入するときの確認事項

海外メーカーが日本でIVDを販売する場合は、製品の申請資料だけではなく、日本国内の製造販売体制も準備する必要があります。

日本では、体外診断用医薬品を製造販売するための許可は、第一種・第二種・第三種の医療機器製造販売業許可とは別に定められています。IVDを製造販売する日本国内の事業者は、体外診断用医薬品製造販売業許可を有している必要があります。

海外メーカーが日本側の製造販売業者を通じて申請する場合は、当該製造販売業者が体外診断用医薬品製造販売業許可を有していることを確認します。また、外国製造業者が外国特例承認制度を利用する場合には、日本国内の選任製造販売業者(DMAH)を選任する必要があります。この場合も、選任製造販売業者には体外診断用医薬品を取り扱うために必要な製造販売業許可が求められます。

主な確認事項は次のとおりです。

  • 一般的名称とクラス分類
  • 届出・認証・承認の申請ルート
  • 体外診断用医薬品製造販売業許可を有する日本側の製造販売業者
  • 外国特例承認制度を利用する場合の選任製造販売業者(DMAH)
  • 外国製造業者登録
  • 性能・安定性・臨床性能等の資料
  • QMS対応
  • 法定表示・添付文書
  • 市販後の品質・安全管理

海外ですでに販売している製品では、FDA、EU IVDR等の資料を日本での申請に利用できる場合がありますが、一般的名称、使用目的、申請区分、要求資料に合わせて整理する必要があります。

申請ルートと必要資料の確認

体外診断用医薬品の申請では、試験を開始してから申請ルートを検討するのではなく、まず製品の規制上の位置づけを確認することが重要です。

最初に、

一般的名称 → クラス分類 → 適用基準 → 申請ルート → 必要資料

を整理し、その後に性能評価、QMS、法定表示、申請資料の準備へ進めることで、不要な試験や資料の作り直しを避けやすくなります。

MKコンサルティングでは、体外診断用医薬品についても、製品情報や海外承認資料を確認したうえで、日本で想定される一般的名称、クラス分類、申請ルート、必要資料を整理し、日本市場参入に向けた薬事対応を支援します。

よくある質問

海外でIVDとして販売していれば、日本でもそのままIVDとして申請できますか?

+

海外での製品区分をそのまま日本へ適用することはできません。一般的名称、測定項目、使用目的、クラス分類、適用基準を確認して申請ルートを判断します。

クラスIIなら必ず認証ですか?

+

必ずしもそうではありません。クラスIIであっても、該当する認証基準があり、その適用範囲に製品が入ることを確認する必要があります。基準に適合しない場合は承認申請となることがあります。

クラスIなら必ず届出だけで販売できますか?

+

クラスIであっても、承認を不要とする基準への適合性を確認する必要があります。基準に適合しない場合は承認申請が必要となる場合があります。

海外の性能試験データを日本での申請に使えますか?

+

利用できる可能性があります。ただし、日本で申請する使用目的、検体、性能仕様、申請区分などとの整合性を確認する必要があります。追加試験の要否は製品ごとに判断します。